一言に「椅子」といっても、種類は様々です。日本の特許庁の意匠登録の定義によると、椅子とは「室内外で人が腰を掛け座る際に体を支えるために用いる器具」とされています。
人間が日常生活で取る姿勢は大きく「立つ」「寝る」「座る」の3つですが、普段生活している中で起きている時には、大部分の時間が「座る」姿勢で占められているのではないでしょうか。おそらく人類の文明が始まる頃には存在していたであろう、と言われるほど椅子の歴史は長く、その歴史の中で椅子は様々な形に進化してきました。
ここでは、私たち和泉フォームが得意とする「モールドウレタンチェア」のお話の前に少しだけ、主に業務用家具業界での様々な椅子の種類についてご紹介します。
椅子の構造
一般的に、椅子は「座面」「背面」「脚」「フレーム・芯材」「肘掛け(アーム)」といったパーツで構成されています。
①座面
腰かける際にお尻の部分を預ける面で、椅子として成立するための必須パーツです。
ウレタンや中綿のクッション材に合皮、繊維、皮革などの張地を施した「張座」のものと、合板や無垢材など材木で製作した「板座」のものなどがあります。(他、ポリカーボネート製などプラスチック製の座面などもあります。)
張座の場合は各メーカー指定の張地に基づき選択、板座の場合は塗装色や材質を選択します。
②背面
腰かける際に背中の部分を預ける面です。椅子によって有り無しがあり、和風の飲食店等では背無しの椅子もよく用いられます。
座面と同じく、「背張」のものと「背板」のものなどがあり、メーカー指定素材を選択することができます。
③脚
座面を支える構造で、大きくは「木製」「スチール(パイプ)製」の2種類の素材のものがあり、メーカー指定の塗装色・素材を選択できます。
形状としては「4本脚」のものが一般的ですが、「ループ脚」「丸ベース脚」などの種類もあります。また、和風の飲食店、ホテル客間等では脚の無いタイプの椅子(座椅子)等もよく用いられています。
④フレーム・芯材
座面、背面、脚を取り付けるための椅子の骨格(FRAME:骨格の意味)です。椅子の耐久性を維持するためにある程度の強度が求められます。脚と同様の素材が選択されるケースも多く、フレームと脚が一体化している形状も多く見られます。
モールドウレタンチェアの場合は、「背」「座」「肘掛け」「フレーム」を、芯材となる鉄パイプまたは木材と一体化した「一体成型」を行うことができます。
⑤肘掛け(アーム)
肘掛け付きの椅子は、一般的に「アームチェア(アーム椅子)」と呼ばれ、椅子そのものの製品名に「アーム」とつけて、「〇〇(製品名)アーム椅子」等と呼ばれます。
フレームを延長して製作される場合がほとんどで、木製肘掛けの場合はフレームと同系色、張りタイプの肘掛けは張座と同系色が用いられます。
様々な椅子の素材と種類
上記のような様々な椅子のパーツ構成の他にも、素材や用途によって様々に分類され、空間の演出に役立てられています。